空の拳(角田光代)★★★☆☆ 8/31読了

たまたまジムにまぎれこんだ男が、練習して練習して練習しなければ強くなれない、金にもならず、命すら奪われかねない過酷な世界にのめり込む。人はおもしろい試合を見てしまうと、夢中に、暑苦しくならずにはいられない。そこは世のうつろいと無縁の時がとまった世界。まばゆい光の下で突き上げられた拳は、いったい何を掴むのか。たたみかけるようにパワフルに、ボクシングそのものを描ききった傑作長篇。

角田光代にしてはイマイチだったかな。酔うと女言葉になってしまうという編集者の那波田空也の人物造形に入り込めなかったからかもしれない。それから、ちょっと長すぎるな。今回のページ数の3分の2くらいにまとめて欲しかった。
面白くなくはなかったけど、ボクシングものは「一瞬の夏」などの傑作が多いから、なかなか難しいね。

空の拳

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