第141回芥川賞・直木賞決定

第141回芥川賞直木賞日本文学振興会主催)の選考委員会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞磯崎憲一郎氏(44)の「終の住処」(新潮6月号)、直木賞北村薫氏(59)の「鷺と雪」(文芸春秋)に決まった。

直木賞の選考作業は午後5時に始まったが、前回同様、長時間に及び、最終的に北村薫さんの「鷺と雪」に決まったのは午後8時。選考委員の浅田次郎さんは「例によって少々時間がかかりましたが…」と前置きし、選考過程の説明を始めた。

 1回目の投票で北村薫さんの「鷺と雪」、西川美和さんの「きのうの神さま」、葉室麟さんの「秋月記」の3作品に絞られた。「ほとんど点差はなかった」と言う。さらに討論が行われ、2回目の投票を行った結果、最高得点を獲得した北村さんに決まった。

 「鷺と雪」について浅田さんは「大変、難しい時代を描いた作品。自分は知らないが、知っている人もまだ生きている。ハードルは高く、資料を読み込み取材をし、勇気をふるいながら書く必要性がある。また、長い教員生活の経験からか、登場人物である女学生のキャラクターが生き生きと描かれている。尻上がりに話が盛り上がっていく良い作品だ」とたたえた。

 次点に選ばれた西川さんについては、「選考委員全員が異口同音にその高い才能を認めた。センスがいい。いい本をたくさん読んできた人だと直感した。個人的には今後、たとえ候補に選ばれなくても本屋で買って読みたい。映像の人がわずか数冊の経験でここまでの文学を書くことに衝撃を受けた。私自身、勉強させられた」と絶賛した。

 葉室さんについては「一作ごとに飛躍的に成長している。が、相対的な判断で今回は受賞を(北村さんに)譲った」と述べた。

予想は外れました。『きのうの神さま』と『プリンセス・トヨトミ』しか読んでないからな。『プリンセス・トヨトミ』の受賞は万が一にもあり得ないのは分かっていた。北村薫は何度もノミネートされてるからねえ。そこらへんも踏まえての受賞なんだろうな。でも、『きのうの神さま』は次点だそうで、この本の良さを認めてもらえて良かったよ。