猫を抱いて象と泳ぐ(小川洋子)★★★★☆ 2/7読了

伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの、ひそやかな奇跡を描き尽くした、せつなく、いとおしい、宝物のような長篇小説

この作品は詩だね。見た目は長篇小説だけれども、中身は紛れもなく詩だ。リトル・アリョーヒンが盤下に描いた棋譜が詩であるのと同じように、小川洋子が紡いだ一編の長い詩だ。
最初から最後までストーリーは実に静かにそして控えめに進んでいく。だからといって、何も心に残らないというわけではない。むしろその逆だ。読んだ人の胸にいつまでも消えない小さなロウソクの火を点すようなそんな作品だ。
私は将棋は知っているけれどもチェスは知らないので、時折将棋に置き換えて読んだりしていたが、これを機にチェスも覚えてみたくなったな。

猫を抱いて象と泳ぐ
猫を抱いて象と泳ぐ小川 洋子

文藝春秋 2009-01-09
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おすすめ平均 star
star謙虚さ=ちいさくあることの美徳
starチェスを通して、全てに「刻まれるもの」を知る。
starそこにしかいられない訳がある。それが彼らの宇宙だから。

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