愛しぬくことも愛されぬくこともできなかった日々を、今日も思っている。大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語。
直木賞受賞作。森絵都の本を読むのは初めて。最初の「器を探して」の主人公の女性に感情移入ができなくて、この作者とは相性悪いのかなと思ったが、その次からは面白くなってきた。
背景知識を勉強しないと書けない話が多く、仏像の修復師を主人公にした「鐘の音」や国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)に勤める外国人の夫を持つ妻の話である「風に舞いあがるビニールシート」などは読み応えがある。ただ、「調べて書いてます」臭がしてしまうのがちょっと残念。短編だから仕方ないかもしれないが、その辺をうまく処理できるとさらにいいと思う。
個人的には「ジェネレーションX」が良かったね。ネタばれになりかねないので内容には触れないが、この作品はとても良かった。
風に舞いあがるビニールシート | |
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