世相講談 上(山口瞳)★★★☆☆ 3/18読了

昭和40年、みんな必死に生きていた。風呂屋、刑事、女給、職業野球選手、サラリーマン、棋士、ストリッパー、屑屋、力士、医者、鳶、猟師・・。山口瞳が絶妙の語り口で庶民の哀歓を描く、昭和世話物集。

装いも新たに刊行されている『世相講談』。まだ読んでないと思ったら随分前に読んでいた。そもそものきっかけは沢木耕太郎の『時の廃墟』のあとがきで絶賛されていたのを読んだことだ。記録を調べてみたら、『時の廃墟』を2003年の8月に読んでいて、『山口瞳大全第6巻 世相講談』を10月に読んでいた。
そんなことすっかり忘れていて読み始めたけど、初めてのように楽しめた。さすがに途中でデジャヴ感に襲われて気が付いたが、一度読んだなと思ってもそれでも面白かった。
山口瞳の文章はいい、なんて今更私が言わなくても先刻ご承知だと思うが、他の作品に比べて『世相講談』は意外と日の目を見ていないような気がする。この本はいいですよ。

世相講談 上 (1)
世相講談 上 (1)山口 瞳

論創社 2008-01
売り上げランキング : 37331


Amazonで詳しく見る
by G-Tools