ホステス殺害事件を追う合田雄一郎は、電車飛び込み事故に遭遇、轢死(れきし)した女とホームで掴み合っていた男の妻・佐野美保子に一目惚れする。だが美保子は、幼なじみの野田達夫と逢引きを続ける関係だった。葡萄のような女の瞳は、合田を嫉妬に狂わせ、野田を猜疑に悩ませる。
『マークスの山』に続く合田刑事第2幕。
読みそびれているうちに全面改稿の文庫版が出てしまい、それを買っておいたのだが、作中の季節と本当の季節が合うまで待っていたので今頃になってしまった。
わざわざ待った甲斐はあったと思う。真夏に読んでこそ登場人物の気持ちに近づけるだろう。それはいいのだが、これはかなり特殊な本だな。合田雄一郎と野田達夫という二人の男の内面を深く深く掘り下げていくので、物語自体がなかなか先に進まないのだ。私の妻のように熱烈な合田ファンならいいかもしれないが、私はそこまでじゃないし。面白さの順番からいったら、『レディ・ジョーカー』『マークスの山』『照柿』となるだろうな。
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