タイトルの通り、歌舞伎・文楽・能・狂言の舞台裏を見せてくれる本である。小さな正方形に近い版型にカラー写真が満載で、なんだか宝箱のような本である。
ただ舞台裏の写真を掲載しているだけではなく、それぞれ成立の歴史なども紹介してくれているので、これらの古典芸能の入門書としても優れている。
個人的には、最も縁のない文楽が一番興味深かった。そもそも一体の人形を3人で操るということすら知らなかった。「主遣い」が頭(かしら)と右手を、「足遣い」が足を、「左遣い」が左手を動かし、「主遣い」になるまでには「足十年、左十年」という長い修業が必要らしい。衣装を着せながら各部位を人形の形に組み立てることを「こしらえ」といい、人形は使う本人(主遣い)がこしらえる。この「こしらえ」の一部始終を写真で説明してくれるところは非常に興味深かった。
この本を読めば間違いなくこれらの古典芸能を観に行きたくなるし、観に行ったら舞台裏にも思いを馳せ、家に帰ってきたらまたこの本を読み返してみるといいかもしれない。