他人を寄せつけず奥深い山で芸術家たちが創作に没頭する木更村に迷い込んだまま、マリアが戻ってこない。救援に向かった英都大学推理研の一行は、大雨のなか木更村への潜入を図る。江神二郎は接触に成功するが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。川の両側に分断された木更村の江神・マリアと夏森村のアリスたち、双方が殺人事件に巻き込まれ、各々の真相究明が始まる・・・。
『このミス』の過去18年間のベスト・オブ・ベスト国内編の10位に選ばれていたのと、そもそも有栖川有栖の本を読んだことがなかったので(多分)、図書館で借りてみた。
こってこての本格推理小説だな。いや分かってて読んだんだけど。エラリー・クイーンばりに「読者への挑戦状」が三度も挿入されている。設定やトリック自体は面白かったんだけど、動機とか犯人の人物造形とかがかなり弱いんだよな。正直言って、そこを突き詰めるとこの話自体成り立っていないんじゃないかという気さえする。ただ、文庫とは言え700ページある長大な作品を最後まで読ませる筆力は大したものだ。
高校生の時ぐらいまではこういう推理小説が大好きだったんだけど、今はさすがに物語としての面白さが加味されてないと読んでいて辛いな。
双頭の悪魔 | |
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