それでもボクはやってない ★★★☆☆ アミューズCQN

やってないことをやってないと主張するのは真っ当な事であるはずだ。ところが、逮捕から取調べ、拘留、起訴の過程で、誰もそんな主張には耳を貸さない。これは辛い。疑われた者は端から犯罪者扱いである。ゆえに、たとえ無実であっても無罪を勝ち取るのは難しい。まして被害者は女子学生。片や逮捕された男は就職活動中のフリーターだ。勇気をふるって痴漢を捕まえた少女に当然ながら同情は集まる。果たして加瀬亮演じる主人公・金子徹平は無罪か有罪か。『Shall We ダンス?』の周防正行監督が痴漢冤罪裁判に注目し11年ぶりに放つ新作は裁判を通して矛盾だらけの日本の姿そのものをも浮かび上がらせる。見応え充分の作品である。

上映時間:143分
監督:周防正行
脚本:周防正行
出演:加瀬亮瀬戸朝香山本耕史もたいまさこ田中哲司光石研尾美としのり小日向文世高橋長英役所広司大森南朋鈴木蘭々唯野未歩子柳生みゆ山本浩司正名僕蔵田口浩正徳井優清水美砂本田博太郎竹中直人益岡徹北見敏之矢島健一 、大谷亮介 、石井洋祐 、菅原大吉 、大和田伸也

私は男なので、どうしても主人公に感情移入して見てしまうが、女性の場合はどうなのだろうか。妻も言っていたが、痴漢されるということは非常に嫌なことに間違いない。だけど、やっていないのに逮捕されてしまうのも最悪だ。この映画はそれがどのように最悪なのかを子細に描写してくれる。
しかし、警察、検察、裁判官、実際も映画のようなのだとしたらこんなひどい話はないな。でもきっとこれが現実なんだろうな。
本作には前作までのような笑いの要素はあまりない。笑わせるつもりもないのだろう。この映画はこの映画で有意義なのだが、やはり周防監督には『Shall We ダンス?』のような笑って泣ける娯楽作品を撮って欲しいね。