容疑者Xの献身(東野圭吾)★★★★☆ 12/17読了

天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む・・・。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。『オール読物』連載を単行本化。

ご存じ、2005年このミス1位に輝いた作品である。遅ればせながら読みました。一言でいえば、実に端正な本格推理小説である。全く無駄がない。冒頭から引き込まれるし、ラストも素晴らしい。久しぶりに夜更かしして読むほど先が気になった。
だからと言って、完璧かというとそうでもない。「本の雑誌」で池上冬樹が「一点だけ、僕はどうしても納得がいかない。犯人が命がけで好きになる女性があまりにも凡庸な点で、僕はその動機が本物とは思えなかった。何か裏があるのではないかと期待したほどだ」と書いているように、石神の犯行動機が弱い。本格推理小説の場合、こういうところはあまり突っ込まないのが流儀であるが、もう少し書き込んでも良かったんじゃないかなと思う(微妙なとこだけど)。それと、ありそうでなかったトリックは素晴らしいのだが、あれをもうちょっとああしてくれると(書けないw)さらにフェアになって良かった。ただ、そうしちゃうとバレる可能性が高まるので、よほどうまくやらないといけないんだけど。
些細な点は気になるが、逆に言えばそれほど完成度が高い。このミス1位になる前に、先入観なしで読みたかったな。

容疑者Xの献身
4163238603東野 圭吾

文藝春秋 2005-08-25
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おすすめ平均 star
star素晴らしい。一気読み&電車乗り過ごし
starすごいよ東野!
star内面にある行動の価値基準

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