本屋さんの仕事(太陽レクチャー・ブック005)★★★☆☆ 12/5読了

本書は池袋コミュニティ・カレッジで2004年4〜8月に行われた「講座太陽 本屋さんの仕事」でのレクチャーに、部分的に追加インタビューを加えて構成されたものである。編者はクローバー・ブックスの平林享子さん。

いろいろな人たちが、本屋のあり方について色々な意見を述べているわけであるが、要約は不能なので、印象に残った一節をいくつか抜いてみる。

ベストセラーの本をたくさん仕入れて、きれいに積んでいるときと、そろそろ絶版だろうという本を仕入れて並べているとき、それが等価でないと新刊書店員は務まらないと、今は思っていますね。(ブックファースト渋谷店:林 香公子)

本って自分の知らないことが詰まっていて、すごいなっていつも思うんですけど、そういうものが棚一面に並んでいるスリルって、本屋しか作り出せない雰囲気だと思うんですよ。(ブック・コーディネーター:幅 允孝)

本に携わるビジネスをお考えなのであれば、投資効率が悪いことは覚悟した方がいいと思います。数値だけを求めているなら、やめたほうがいい。ですが、本屋というのは、プライスレスなものを得られる仕事でもあります。(ハックネット:安岡洋一)

誰でも、自分の目で見て確かめて買ったものって大事にする。だから、次の代に残すためには、売るのが一番だと思う。図書館に寄贈するより、売ることで本もモノも生きるんですよ。そこに介在するのが、古本屋の役割なんじゃないかなって思います。(古書 日月堂佐藤真砂

いくらインターネットでテキストが読めて、情報が入手できても、本というマテリアル、モノとしての魅力は絶対にあるし、そういうものをちゃんと見て触れる本屋という場所は絶対に必要だと思う。(恵文社一乗寺店堀部篤史

まあ、みなさんそれぞれ個性的な本屋を営んでいるようであるが、どうもみんな「ええかっこしい」じゃないのという感じがしてしまう。もちろん今の時代個性的な本屋じゃなければ、大型店には太刀打ちできないということはあるだろう。だけど自分だったらもうちょっと普通の店にしたい。例を挙げれば銀座教文館の2階のような本屋だ。決して大きくなくていい。ああいう品揃えの店があちこちにできてくれたらなあと個人的には思う。

本屋さんの仕事 太陽レクチャー・ブック005
4582630669江口 宏志 北尾トロ 永江 朗

平凡社 2005-11
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