切手帖とピンセット 1960年代グラフィック切手蒐集の愉しみ(加藤郁美)★★★★★ 2/24読了

一般の人々が海外旅行をすることがまだ難しく、夢のように思われた1960年代。ペンパルとの文通にわくわくしたり、切手の蒐集によって、海の向うの国への憧れを手に入れたり。郵便が通信の花形で、切手がいちばん輝いていたころ・・・そんな時代の切手を中心に、東欧のかわいい切手、精緻で美しい北欧の切手、南米のあざやかなデザインの切手、アジアの不思議な切手などなど、1154枚をぎっしり詰め込んだ切手帖が、豪華執筆陣によるコラムと詳細なデータ織り込んで、オールカラー184ページの素敵な本になりました。
グラシン紙のポケットが切手の背景に写っている、ちょっと古くて懐かしい切手帖そのものを思わせる、祖父江慎氏によるブックデザインもとても魅力的(是非一度、カバーを外してご覧になってください)。

新聞でこの本の小さな広告を見たときにもうビビッと来た。一度リアル書店で手に取ってから買うかどうかは決めようと思ったのだが、この特設サイトを見た段階でネット書店に注文を入れていた。
ご多分に漏れず、私も子供の頃切手を集めていた。切手にまつわる思い出はたくさんあるけれど、国際文通週間の「蒲原」をようやくの思いで手に入れた時は嬉しかったなあ。
私はもっぱら日本の切手を集めていたが、この本では主に外国の切手が紹介されている。私が集めていた頃の外国の切手の印象って、原色が多くて、デザインが派手で大ざっぱというものだった。それは単に私の視野が狭かったというか知識がなかっただけなのだということがこの本を見てよく分かった。実に繊細で素晴らしいデザインの切手がたくさんあるじゃないか。そしてその素晴らしい切手をいかに良く見せるかの工夫が随所に凝らされているこの本のデザインも素晴らしい。
『ひみつのブルボンキーホルダー』というブルボンキーホルダーの本があるのだが、この本はその本とよく似ている。対象(切手やキーホルダー)への愛情がすごく感じられるんだよな。
な〜んかまた切手を集めたくなってきちゃったな。ハマるとお金がいくらあっても足りないからまずいんだけどね。

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