倒すか倒されるかではなく、あくまで興行

世界ボクシング協会WBAライトフライ級タイトルマッチ12回戦が20日、東京・有明コロシアムであり、同級王者の亀田興毅(20)=協栄=が、同級1位のフアン・ランダエタ(28)=ベネズエラ=を3―0の判定で降し、初防衛に成功した。亀田は、03年12月のデビューから13連勝。
 亀田は、8月の同級王座決定戦でランダエタに2―1で判定勝ち。日本人3人目の10代(19歳8カ月)王者となったが、ダウンを喫しながらの微妙な勝利だったことから、「疑惑の判定」と論議を呼んだ。再戦も判定にもつれ込んだが、終始優位に立つ危なげない内容だった。

正直言って、ランダエタに亀田の鼻っ柱をへし折って欲しかったのだが、亀田は前回よりも強くなっていた。前回との一番大きな違いは、相手が強いということを認識して臨んでいたということに尽きるだろう。実際今回は、KOするという強気の発言は聞かれなかった。
序盤は随分慎重に入っていたので、見ていてつまらなかった。そこから徐々に亀田ペースになっていき、10ラウンド、11ラウンドで完全に亀田優勢になった。亀田はラッシュしてもあえて深追いをしない。ラッシュしてポイントを稼いで離れるという、頭脳的というか手堅いというか勝負に辛い作戦だった。明らかに倒しに行っていないので、見ているほうは物足りないのだが、無理に倒しに行くと逆にやられる可能性があることを前回の対戦で学習したのだろう。また、今日負けると今後興行的な面でかなり厳しくなることも重々承知していたのだろう。外見の威勢のよさとは裏腹に、保身に走ったような勝ち方だった。まだ若いのに、なんだか可哀想になってきた。
倒すか倒されるかという試合ではなく、興行的に成功するかしないかという試合を見せられた感じで、何か白けたな。これは言い過ぎだろうけど、今回のランダエタは、それなりのファイトマネーをもらって、負けに来たんじゃないかという気さえした。