映画にもドラマにもなったので知っている人は多いと思うが、トンデモ精神科医伊良部一郎を主人公とした短編集である。色白でデブ、首がどこにあるのか分からないアザラシのような風体のこの医者がとにかく笑える。注射フェチで、患者が来るとなんでもかんでもすぐに注射をし、腕に針が刺さるとところ凝視して鼻息を荒くするのだ。そして、注射をする看護婦のマユミという女が露出狂で、むやみに太ももや胸の谷間を患者に見せる。
やってくる患者もちょっと変わった悩みを持った人が多い。水泳依存症の男とか、アソコが勃ちっぱなしになっちゃってる男とか。まともに診察する気なんてこれっぽっちもない伊良部に翻弄されているうちに、なぜか癒されて治ってしまうのだ。
バカなのか天才なのか、この男じつに憎めないキャラクターである。映画では松尾スズキが、ドラマでは阿部寛が演じたが、どちらも原作とは全くイメージが違う(阿部寛は論外だな)。個人的には山科けいすけの書くマンガのキャラクターに近い感じがするのだが、どうだろう?
イン・ザ・プール | |
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