インドクリスタル(篠田節子)★★★☆☆ 7/20読了

人工水晶の製造開発会社の社長・藤岡は、惑星探査機用の人工水晶の核となるマザークリスタルを求め、インドの寒村に赴く。宿泊先で使用人兼売春婦として働いていた謎めいた少女ロサとの出会いを機に、インドの闇の奥へと足を踏み入れてゆく。商業倫理や契約概念のない部族相手のビジネスに悪戦苦闘しながら直面するのは、貧富の格差、男尊女卑、中央と地方の隔たり、資本と搾取の構造―まさに世界の縮図というべき過酷な現実だった。そして採掘に関わる人々に次々と災いが起こり始める。果たしてこれは現地民の言う通り、森の神の祟りなのか?古き因習と最先端ビジネスの狭間でうごめく巨大国家を、綿密な取材と圧倒的筆力で描きだした社会派エンタメ大作。構想10年、怒涛の1250枚!

さすがに長くて途中読むのがちょっとしんどかったけど、読み応えはあったねえ。『仮想儀礼』といい、『ブラックボックス』といい、最近の篠田節子は力が入っているし読ませるね。ロサの人物造形やインドの慣習など、ものごとはなかなか「善」と「悪」というふうには割り切れない。それに、その時の判断が正しかったのかどうかが時間が経たないと分からないケースもある。基本的にはエンタメ系だとは思うけど、色々と考えさせられる部分も多かったね。

インドクリスタル
インドクリスタル篠田 節子

KADOKAWA/角川書店 2014-12-20
売り上げランキング : 1274


Amazonで詳しく見る
by G-Tools