宍倉勲は二十代半ばで父が興した会社を引き継いだが、十五年後に敢えなく倒産させてしまった。罪悪感をぬぐえないまま再就職し定年まで働き、もうすぐ「人生の定年」も迎えようとしている。だが、そんな勲の働く姿こそが、娘の香を「会社」の面白さに目覚めさせて―「仕事」によって繋がった父と娘を、時間をさかのぼって描く連作長編。
最初の話から時間を遡っていって、最後の話が「今」になるようになっている。連作短編ということで、主人公が「二十代半ばで父が興した会社を引き継いだが、十五年後に敢えなく倒産させてしまった」ということが各話で繰り返されるのがちょっと鬱陶しい。
短編同士の関連がそれほど密ではなく、話が結構飛ぶので、間に何があったのかは読者の想像に委ねられている。それはそれでなかなか面白い試みだった。
全体的にはちょっと散漫な印象で、他の作品に比べれば今ひとつだったかな。
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