「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった!
面白かったことは面白かったのだが、なぜ「第60回日本推理作家協会賞受賞」なのかよく分からない。この本ミステリじゃないよな。祖母や母の時代に変死した人たちの謎が最後の章で一気に解決されるのかと思いきや、そうでもないのでガックリ来る。ミステリだと思わないので読めば良かったんだな。
高度経済成長やバブル崩壊を振り返る際に、その時代の文化や風俗が書き込まれている。何かに似ているなと思ったら、『白夜行』だった。ただ、本作はわざとなのかどうなのか分からないが、やや筆致が幼稚なところがあるんだよな。面白かったけど、『白夜行』には及ばない。まあ、比べない方がいいのかもしれないが。
赤朽葉家の伝説 | |
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