読み始めてしばらくして、「あれ、これって」と思ったらやっぱり『誰か』に出てきた杉村三郎が主人公だった。ただ、本の紹介に杉村三郎とあっても『誰か』に出てきた人だとは思わなかった。というかそんなことまで覚えていない。では、なぜ本の紹介に『誰か』の主人公杉村三郎再び!みたいな書き方をしないんだろう。それはきっと売り出すほうも『誰か』が凡作であることを認めているのだろう。実際つまんなかったからねぇ『誰か』は。『誰か』の続編だと知っていたら買わなかったかもしれない。
ただ、本作は『誰か』よりは面白い。『誰か』よりも事件性があるし。ただ私はどうしてもこの杉村三郎という人物が好きなれない。今多コンツェルンという大財閥の会長の娘と結婚していて、広報室で社内報を作っているという設定も好きになれない。なんか出て来る人がみんないい人ばっかりというのも気に入らない(いい人じゃない人も多少出て来るけど)。もちろん私とは真逆の理由でこのシリーズが好きな人もいるでしょう。それそれで全く否定はしない。好みの問題だ。宮部みゆきの才能は感じられるけど、このシリーズの続編はもう買わないだろうな。
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どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。