ノーカントリー ★★★★☆ 109シネマズMM横浜

“追う者”と“追われる者”、“法と正義を信じる者”…アメリカ西部を舞台にした3者3様の追跡・逃亡劇は、人間の本質を残酷なまでにコミカルに描き出す。監督は『ファーゴ』『オー・ブラザー!』など、人間の可笑しさと哀しさを描き続ける異才兄弟監督、ジョエル&イーサン・コーエン。出演はオスカー俳優トミー・リー・ジョーンズ、唯一無二の存在感を放つ実力派スペイン人俳優ハビエル・バルデム、演技力を高く評価されますます頭角を現しているジョシュ・ブローリンなど豪華キャストが揃った。


監督:ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
原作:コーマック・マッカーシー
脚本:ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
出演:トミー・リー・ジョーンズハビエル・バルデムジョシュ・ブローリンウディ・ハレルソンケリー・マクドナルド、ギャレット・ディラハント、テス・ハーパー、バリー・コービン、スティーヴン・ルート

とにかくアントン・シガー役のハビエル・バルデムが怖いの怖くないのって。逃げるモス役のジョシュ・ブローリンと追うアントン・シガーとの攻防はスリル満点だったね。前半から中盤はその攻防が見どころなんだが、終盤に入ってくるとちょっと分かりにくくなってくる。あえて観ている人間の判断に任せるようなシーンが多くなってくるんだよな。ラストは半分予想通りで半分予想外だった(詳しくは書けない)。
この映画は色々な示唆に富んでいて、観る人によってその捉え方は違ってくるだろう。私が感じたのは、結局人間は「死」からは逃れられないということだ。アントン・シガーはまさに「死神」だね。死神に目を付けられたら観念するしかない(コイントスに勝つという例外を除いて)。
ハビエル・バルデムのオスカー受賞は納得だね。名演というか怪演だった。保安官役のトミー・リー・ジョーンズは安定していたし、モス役のジョシュ・ブローリンの好演も光った。本作が『ファーゴ』を超えたかどうかは微妙だが、コーエン兄弟の最高傑作に近いことは間違いないね。
観ている途中、とても緊迫したシーンで私の隣の男性の携帯のバイブが「ブイーン、ブイーン」と鳴った。さらに、まさにラストシーンでも別の場所で携帯のバイブが鳴った。あれって結構気になるんだよな。特にラストシーンで鳴らされたのには参った。映画を観るときにはマナーモードじゃなくて電源から切りましょう。かなり周りの迷惑になるし、鳴った本人も相当恥ずかしいからね。