鏡の背面(篠田節子)★★★☆☆ 11/10読了

薬物依存症患者やDV被害者の女性たちが暮らすシェルターで発生した火災。「先生」こと小野尚子が入居者を救い、死亡。盛大な「お別れの会」が催された後、警察から衝撃の事実が告げられる。「小野尚子」として死んだ遺体は、別人のものだった。ライターの山崎知佳は、過去を調べるうちに、かつて「女」を追っていた記者にたどり着く。一方、指導者を失ったシェルター内では、じわじわと不協和音が…。傑作長編サスペンス。

最近の篠田節子はどれも力が入っていて読み応えがある。本作もかなりの分厚さ。「毒婦もの」の系譜だが、そこに人物の成り代わりも加わっている。なぜ成り代わり、なぜ成り代わったままでいたのか。そこは明示せず、読者の判断に委ねられている。「鏡の背面」というタイトルも効いてるね。