夜の声(スティーブン・ミルハウザー)★★★☆☆ 2/17読了

耳をすませば、声が聞こえてくる

人魚の死体が打ち寄せられた町の人々の熱狂と奇妙な憧れを描く「マーメイド・フィーバー」。夜中に階下の物音を聞きつけた妻が、隣で眠る夫を起こさずに泥棒を撃退しようとあれこれ煩悶する「妻と泥棒」。幽霊と共に生きる町を、奇異と自覚しつつもどこか誇らしげに語る「私たちの町の幽霊」。勝手知ったるはずの自分の町が開発熱でまるで迷宮のようになってしまう「近日開店」……。

「私たちの町の幽霊」や「マーメイド・フィーバー」が好きだったかな。アイディアだけであれば浮かばないこともないんだけど、それをリアルに膨らませていく技術が凄いんだよな。「場所」も含蓄があって、示唆に富んでいて、なかなか良かった。