エレジーは流れない(三浦しをん)★★★☆☆ 10/18読了

海と山に囲まれた餅湯温泉。団体旅行客で賑わっていたかつての面影はとうにない。
のどかでさびれた町に暮らす高校2年生の怜は、複雑な家庭の事情、迫りくる進路選択、
自由奔放な友人たちに振りまわされ、悩み多き日々を送っている。
そんななか、餅湯博物館から縄文式土器が盗まれたとのニュースが……。

熱海がモデルと思われる温泉街の高校生たちの物語。淡々とした日常が描かれるのだが、なぜか主人公には2人の母親がいて父親がいない。その謎は後半で解明されるのだが、その後も淡々は続く。1つだけ、ある事件が起きるのだが、それもさほど大きなものではなく、全体的に物語的な起伏はあまりない。では、つまらないかというとそうでもない。所詮、普通の人の日常なんて淡々と過ぎてゆく。それを物語にして、まがりなりにも読ませるんだから大したものだと思う。