わたしの好きな季語(川上弘美)★★★★☆ 9/13読了

96の季語から広がる、懐かしくて不思議で、ときに切ない俳句的日常。
俳人でもある著者による初めての「季語」にまつわるエッセー集。散歩道で出会った椿事、庭木に集う鳥や虫の生態、旬の食材でやる晩酌の楽しみ、ほろ苦い人づきあいの思い出、ちょっとホラーな幻想的体験など、色彩豊かな川上弘美ワールドを満喫しながら、季語の奥深さを体感できる96篇。名句の紹介も。

川上弘美というと、MONKEYに連載しているようなちょっと人を喰ったような話の印象が個人的には強いのだが、この本はそういうのは一切なし。素直で優しい文章。「すてきにハンドメイド」という雑誌の連載だったからかもしれない。私は実作はしないが、俳句鑑賞は好きなので季語にも興味がある。いろいろな季語を知ることができるのもさることながら、その季語にまつわるお話を見開き2ページに収めて間然とするところがないのは流石というしかない。