死んだレモン(フィン・ベル)★★☆☆☆ 11/11読了

酒を飲んで運転し、自損事故で下半身の自由を失ったフィンは、心機一転、ニュージーランド最南端の町へ引っ越す。住居は人里離れたコテージで、26年前にその家に住んでいた少女が失踪していた。彼女が消えてから6週間後、不気味な三兄弟が住む隣のゾイル家の土地から、骨の一部が発見された。住人は逮捕されたが結局未解決となっていた。ゾイル家の関わりは明らかなのに証拠がない場合、どうすれば? 事件を詳しく調べ始めるフィン。だが5か月後、彼は三兄弟に命を狙われ……。最後の最後まで読者を翻弄するナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作。

車椅子の主人公が岸壁に引っ掛かって宙吊りになっているところから始まるというツカミは非常に良かった。その後、その宙吊り状態の現在パートと、そこに至る過程を描く過去パートを交互に書いていくのもいい。ところが、中盤あたりから話が先に進まなくなるし、現在パートの比重が減って、過去パートばかりになる。カウンセラーとの対話シーンも冗長だ。しかも結末が弱い。引っ張るだけ引っ張って、最後がこれなのかあという残念感が強かった。ツカミが良かっただけにもったいなかった。