らまのだ6かいめ公演『優しい顔ぶれ』@下北沢OFF・OFFシアター

新作書下ろしを含む、南出謙吾の新作3作品を同時上演!

『麻酔みたいな』
出演:松本みゆき(マチルダアパルトマン)、塩原俊之

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漠然とした将来への不安を抱え、女はがむしゃらに自立し武装する。
男は、痛みを知らないのか、ただゆっくりとされるがまま暮らしている。


『あたらしいニュース』
出演:竹井亮介 宮原奨伍(大人の麦茶) 吐山ゆん 井上幸太郎 板倉哲(青年劇場)

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九条改憲国民投票が迫り、特需に沸く零細ネットメディア制作会社。
だが、納品した生地に自衛隊からクレームがついた。ねつ造の疑いがかけられたのだ。
代理店も巻き込み彼らはもはや風前の灯だ。


『優しい顔ぶれ』
出演:田崎小春 緒方晋(The Stone Age) 

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重篤な妻を献身的に看病する夫。夫は病院の外での出来事をいちいち報告する。
妻にとってそれが唯一の外の世界との窓口なのだ。
妻がかつて参加していたデモ行進のシュプレヒコールは、はるか遠くに響くだけ。

「らまのだ」は初観劇。『笑顔の砦』で良かった緒方晋が出ていて、竹井亮介も出ているのでチケットを取った。色々な舞台が中止になる中で、この舞台は中止にならなくて良かった。野田秀樹の声明ではないけれど、やっぱり「Show must go on」だからねえ。
当日精算する際にもまずアルコール消毒。そして観客は全員マスク。座席もちょっと隣りとのスペースをとってあった。いつもギュウギュウ詰めの中で観ているから、それは逆に有り難かった。
3作品のオムニバスで、どれも良かったけど、一番時間が長く、登場人物の多い『あたらしいニュース』が見応えがあったかな。竹井亮介は、らしい役だったね。
3作品上演なので、1つ終わると舞台変換があるが、これを役者たちが行っている。3作品目の『優しい顔ぶれ』は病室が舞台なので、ベッドや点滴を吊るす器具などを出すのだが、その時出演しない役者が白衣を着て医者になっていたり、看護婦になったりしていたのに驚いた。着替えているから次の作品にもちょっとは出てくるかと思ったら出てこないんだよね。照明を薄暗くした場面転換のときだけのためにちゃんと医者になったり看護婦になったりしているとは手が込んでいる。
ランチでワインを飲んだのに眠くならなかったということは面白かったという証でもある。どの作品も微妙な人間関係の機微を描いていて良い芝居でした。次回作も観てみたいね。

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