短編画廊 絵から生まれた17の物語(ローレンス・ブロック他)★★★☆☆ 10/23読了

米国を代表する名画家、エドワード・ホッパー(1882‐1967)。作家ローレンス・ブロックは、ホッパーの作品は「絵の中に物語があること、その物語は語られるのを待っていること」を強く示唆していると語り、ホッパーの絵から物語を紡ぐこの短編集を考えついた。彼の呼びかけに集まったのは、スティーヴン・キングジェフリー・ディーヴァーマイクル・コナリー、リー・チャイルド…といった錚々たる顔ぶれ。各々の個性を遺憾なく発揮した華麗なる文豪ギャラリーが、ここに幕を開けた―。2017年アンソニー賞Anthology部門最終候補。2017年MWA賞受賞(L・ブロック作『オートマットの秋』)。

エドワード・ホッパーという画家のことは知らなかったのだが、何となく絵に見覚えがあると思ったら、村上春樹が翻訳したグレイス・ペイリーの短編集の表紙に使われていたんだね。絵から発想した短編を集めたアンソロジー。なかなか面白いことを考えるなと思うが、確かにエドワード・ホッパーの絵(特に人物が描かれているもの)はストーリーを喚起するんだよな。超有名な作家も知らない作家もいたが、個人的には「キャロラインの話」(ジル・D・ブロック)、「映写技師ヒーロー」(ジョー・R・ランズデール)、「夜のオフィスで」(ウォーレン・ムーア)がお気に入り。特に「キャロラインの話」は絵と物語が実にマッチしていて良かった。