我らが少女A(高村薫)★★★★☆ 8/3読了

一人の少女がいた―合田雄一郎、痛恨の未解決事件。動き出す時間が世界の姿を変えていく。人びとの記憶の片々が織りなす物語の結晶。

久しぶりの高村薫。ちゃんと合田雄一郎が歳をとっている。一人の女性の殺害事件を機に12年前の未解決の老女の死亡事件がまた水面上に浮かび上がってくる。12年前と現在を行きつ戻りつしながら話は進む。ただ、なかなか物語は前には進まずに、ずっと螺旋を描いている。上昇しているのか下降しているのか分からないような螺旋の中で関係者たちの12年前と現在がねっとりと執拗に描かれていく。さすが高村薫というべき筆致。堪能しました。

我らが少女A

高村薫 毎日新聞出版 2019年07月20日
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