続 横道世之介(吉田修一)★★★★☆ 5/23読了

バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。名を横道世之介という。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。

10年ぶりの横道世之介。まさか続編が出るとは思わなかった。前作は大学生だったが、今回は大学を卒業したけど定職に就かず、バイトでフラフラしている1年間の話。そんな人生ダメな時期の話だが、やはり世之介は周りの人間を笑顔にしていく。途中途中にのちの時代の話が挿入されるのも確か前作と同じやり方。その、のちの時代というのが2020年の東京オリンピックパラリンピックと来ているから面白い。読者は過去を懐かしみつつ、未来も体験できるのだ。なんだか、もっと続きが読みたくなっちゃったな。