愛について語るときに我々の語ること(レイモンド・カーヴァー)★★★☆☆ 5/7読了

その鮮やかにして大胆な文学表現で、作家カーヴァーの文学的アイデンティティをくっきりと刻印し、八〇年代アメリカの文学シーンにカルト的とも言える影響を及ぼした、転換期の傑作短篇集。

「MONKEY」誌に載った、この本に関するブライアン・エヴンソンの文章がきっかけで読んでみた。この本に収録されている作品は編集者ゴードン・リッシュの削除と直しが相当入っており、その辺を論じたのがエヴンソンの文章になる(リッシュはエヴンソンの編集者でもあったのだ)。この本に収録されている「風呂」という短編は『カーヴァーズ・ダズン』には「ささやかだけれど、役にたつこと」というタイトルで収録されていて、「風呂」よりも断然長い。エヴンソンは「風呂」の方が好きだと書いており、私も読み比べてみたが、「風呂」の方が良かった。まあ、リッシュのリライトの是非はともかく、この短編集はなかなか良かったね。