皇帝と拳銃と(倉知淳)★★★☆☆ 1/31読了

私の誇りを傷つけるなど、万死に値する愚挙である。絶対に許してはいけない。学内で“皇帝”と称される稲見主任教授は、来年に副学長選挙を控え、恐喝者の排除を決意し実行に移す。犯行計画は完璧なはずだった。そう確信していた。あの男が現れるまでは。著者初の倒叙ミステリ・シリーズ、全四編を収録。“刑事コロンボ”の衣鉢を継ぐ警察官探偵が、またひとり誕生する。

4つの短編が収録されていて、全て倒叙ミステリー。今回作者が生み出したコロンボ型探偵は、死神のような風貌の乙姫警部。ただ、登場人物が乙姫警部に会うたびに、死神のようだとか葬儀社の人のようだとかいう描写が出てきて、これがクドい。
4つのうちの最初の2つは普通に犯行の描写があって、普通に解決されちゃって、あまり面白くない。3つ目の作品でやっと「なるほど」と思わされたが、被害者がやたらに消臭スプレーを撒く癖があるっていうのもちょっと苦しいなあ。倒叙ミステリーの常だが、犯人が色々と喋りすぎる。喋れば喋るほどボロが出るんだから黙っていればいいのにと思う。そうしたら、4つ目の作品でベラベラ喋らない犯人が出てきた。分かってるな作者。この最後の作品はひねりが加わった倒叙ものでなかなか良かったね。

皇帝と拳銃と
皇帝と拳銃と倉知 淳

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