愛なき世界(三浦しをん)★★★☆☆ 12/31読了

恋のライバルは草でした(マジ)。洋食屋の見習い・藤丸陽太は、植物学研究者をめざす本村紗英に恋をした。しかし本村は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。見た目が殺し屋のような教授、イモに惚れ込む老教授、サボテンを巨大化させる後輩男子など、愛おしい変わり者たちに支えられ、地道な研究に情熱を燃やす日々…人生のすべてを植物に捧げる本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか!?道端の草も人間も、必死に生きている。世界の隅っこが輝きだす傑作長篇。

辞書編纂や林業を取り上げていた三浦しをんが今回舞台に選んだのが大学院の植物学の研究室。なんともニッチなチョイスだ。でも、そこに洋食屋を掛け合わせるのが上手い。洋食屋の見習い藤丸陽太と植物学研究者を目指す本村紗英の恋はなかなか上手くいかないんだけど、植物学と料理に意外と接点があったりして、読んでいて楽しかった。タイトルは『愛なき世界』だけど、著者の小説への愛には溢れていたね。

愛なき世界 (単行本)

三浦 しをん 中央公論新社 2018-09-07
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