「50歳になっても、人生はいちいち驚くことばっかり」
息子は巣立ち、夫と二人の暮らしに戻った主婦の聖子が、ふとしたことで読み始めた60年前の「女性論」。
一見古めかしい昭和の文士の随筆と、聖子の日々の出来事は不思議と響き合って……どうしたって違う、これまでとこれから――
更年期世代の感慨と、思いがけない新たな出会い。
上質のユーモアが心地よい、ミドルエイジ応援小説
約60年前にベストセラーになった伊藤整のエッセイ『女性に関する十二章』を下敷きにして話を進めるというなかなか凝った構成。主人公の宇藤聖子夫妻と自分たち夫婦の歳が近いこともあり、かなり共感を持って読めた。
女性論メインかと思いきやそうでもなく、夫の弟のLGBTの話や息子の結婚の話など話題は多岐にわたり、男性の私が読んでもとても面白かった。
聖子の初恋の人の遺児や勤め先のボランティアセンターにふらりと現れる「調整さん」などとのやり取りも良かったね。作中で引用されている中原中也の詩も含めて、なんだか元気をもらえる小説だった。女性だけでなく男性にもオススメだ。
彼女に関する十二章 | |
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