MONO『裸に勾玉』@シアタートラム

 MONOの時期がやってきました。ここ数年は毎回新作です。今回もそうです。ただ今絶賛執筆中です。
今回の『裸に勾玉(まがたま)』、前回公演の『ぶた草の庭』などと同じように、普通のストレートプレイ、ウェルメイドな作品になると思いますが、設定は弥生時代です。そう時代劇なんです。
 2013年、草磲剛さん、堀北真希さんらが出演していた『二都物語』の脚本を書いたのですが、チャールズ・ディケンズの原作では「フランス革命の頃のロンドンとパリ」という設定だったものを「邪馬台国と狗奴の国」変更して脚色しました。その時に資料を読んで、ああ面白いなあと思っていたのがきっかけです。
 舞台は卑弥呼が死亡する少し前、魏志倭人伝によれば狗奴の国と邪馬台国が交戦状態になる頃の話です。
 そんな時代に、ある集落の外れに住んでいる家族……身分も低い、そして頭も悪い三兄弟の物語を中心に、その周りに住む人たちが“ある選択”を迫られるという話です。間抜けですが、哀しいストーリーになると思います。
 なぜ弥生時代に設定したのか。それはもちろん、今のことをビビッドに書きたいからに他なりません。フィクションにすることで、思い切り今のことを書けると思います。


作・演出:土田英生
出演:水沼 健 奥村泰彦 尾方宣久 金替康博 土田英生
   山本麻貴 もたい陽子 高橋明日香 松原由希子

設定は弥生時代ということで、高床式倉庫があったりして、それっぽい舞台装置。全員が弥生時代人なのだと思ったら、そうではないというのがちょっと意表を突いていた。
濁音がないインチキ弥生時代語が面白い。役者は覚えるの大変だっただろうな。MONOの俳優たちは大体いつものような役柄なのだが、今回は金替さんがなかなかいい役だったね。
今の社会状況を反映させているのだが、それほどメッセージ色は強くない。笑わせて、泣かせて、ちょっと考えさせるという、なかなか良く出来たお芝居でした。