代理祖父母派遣会社で祖母として働く女性、人体自然発火現象で死ぬことを恐れながら弟と暮らす青年、折りヅルを使った奇妙な遺産相続ゲームに挑む一族の男たち、ある日裏庭でトンネルを掘り出した三人の若者……ほんの少しだけ「普通」から逸脱した日々を送る人々の生活と感情の断片を切り取った11のエピソードが、どれも不思議としみじみした余韻をもたらす短編集。シャーリイ・ジャクスン賞、全米図書館協会アレックス賞受賞作。
とても面白かった。まず、「代理祖父母派遣会社」や「あれやこれや博物館」や「ワースト・ケース・シナリオ株式会社」などの設定が面白い。設定だけを見ると星新一のようだが、物語のトーンはやや暗めで、登場人物たちは大体人生に生きづらさを感じている。でもそれは我々自身の投影なのかもしれない。ほとんどの話はハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、仄かな希望の光が見えて終わる。そこも何だかダルデンヌ兄弟の映画のようでいい。少年・少女が出てくる「発火点」「モータルコンバット」「ゴー・ファイト・ウィン」の3編が良く、特に16歳の女子高校生と12歳の少年の交流を描いた「ゴー・ファイト・ウィン」が強く印象に残っている。
地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション) | |
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