サラバ! 下(西加奈子)★★★☆☆ 8/2読了

父の出家。母の再婚。サトラコヲモンサマ解体後、世間の耳目を集めてしまった姉の問題行動。大人になった歩にも、異変は起こり続けた。甘え、嫉妬、狡猾さと自己愛の檻に囚われていた彼は、心のなかで叫んだ。お前は、いったい、誰なんだ。

自伝的要素が大きいと思われる本作。全体を通して面白くは読めたんだけど、著者の主張の強さにちょっと引いてしまった。「あなたはあなたでしかないよ。他人と較べては駄目。信じるものを見つけなきゃ」とか正面から言われても「う〜ん」と唸ってしまう。本作にも出てきたが、ジョン・アーヴィングの小説のように、格別の主張もなく人の一生を書いていく中で(往々にして波瀾万丈の一生だが)、読者自身がそこに何かを見い出すという小説の方が個人的には好きだな。

サラバ! 下
サラバ! 下西 加奈子

小学館 2014-10-29
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