ナイロン100℃ 42nd SESSION『社長吸血記』@本多劇場

タイトルだけ聞くと、ホラー物の愉快なパロディのようですが、騙されてはいけません。
悪夢のような演劇になりましょう。
と言っても、我々が「シリアス・コメディ」と呼んで一時期よくやっていたような、
人がこれでもかとばかりにどんどん死んでいくようなものでも、「ブラック・ファンタジー」と称される、
不思議な出来事が頻発するような大人のお伽噺でも、きっとありません。
もっと得体の知れない抽象的な悪夢です。得体が知れないだけに逃れようがない。
不条理劇なのに体裁はサラリーマン喜劇なのが、いよいよ始末に負えない、今はそんな感じの舞台を作ってみたいのです。
どうかついてきて頂きたい。


主宰 ケラリーノ・サンドロヴィッチ


作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅弘城 大倉孝二 みのすけ 喜安浩平
犬山イヌコ 峯村リエ 村岡希美 皆戸麻衣/
水野小論 猪俣三四郎 小園茉奈 大石将弘/
鈴木 杏 岩崎う大(かもめんたる) 槙尾ユウスケ(かもめんたる) 山内圭哉

ブライアン・エヴンソンとはまたタイプが違うが、現実が歪んでいく様を目撃した。
全体的には不穏な芝居なのだが、ギャグも多い。特に山内圭哉が演じた「良い探偵」が笑えた。警備員とのやりとりで、警備員に「お一人なんですか?」と訊かれて、「えー、じゃあ、あなたお二人なんですか?」と訊き返すシーンは笑ったなあ(まあ、これだけじゃ分からないと思うけど)。
岩崎う大の「何考えてるか分からない感」も良かったね。舞台装置にかぶせる映像もスタイリッシュでした。