フラニーとズーイ(サリンジャー)★★★☆☆ 3/14読了

アメリカ東部の名門大学に通うグラス家の美しい末娘フラニーと俳優で五歳年上の兄ズーイ。物語は登場人物たちの都会的な会話に溢れ、深い隠喩に満ちている。エゴだらけの世界に欺瞞を覚え小さな宗教書に魂の救済を求めるフラニー……ズーイは才気とユーモアに富む渾身の言葉で、自分の殻に閉じこもる妹を救い出す。ナイーヴで優しい魂を持ったサリンジャー文学の傑作。――村上春樹による新訳!

ほとんど物語性がないので、正直読んでいてもあまり面白くはない。会話のそこかしこや描写の細部に興味深い箇所はあるにはあるが、99%までは退屈である(宗教の話が多いし)。ところが、最後の1%で全てが光に包まれるんだよな。そこまで読んできた苦労が報われるというか。「フラニー編」のラストと「ズーイ編」のラストの対比も鳥肌が立つほど素晴らしい。

フラニーとズーイ (新潮文庫)

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