チェルフィッチュ「地面と床」@KAAT

死者について考えること、死者のことを勘定に入れて考えることは、ごく当たり前のことになりました。
少なくとも、僕にとっては。
『地面と床』は音楽劇です。
劇の彩りのためにではなく、劇と対等にそそり立つ、ツートップの一角として、音楽はあります。
五人の役者の力と音楽の力とで、よってたかってお客さんをぐらぐら揺らそうと思います。


                                     岡田利規


作・演出:岡田利規
出演:山縣太一 、矢沢誠、佐々木幸子、安藤真理 青柳いづみ
音楽:サンガツ

4月の公開リハーサルの時とは違って、役者がみんな衣装を着ている。当たり前か。佐々木幸子の衣装がピエロっぽくて可愛かったね。静かなパートではうとうとしてしまった。まあ、うとうとした状態で台詞が頭に入ってくるのもなかなか面白い。観る前から分かっていたが、どういう芝居と簡単に説明できる芝居ではない。東日本大震災が絡んでいるが、モダンスイマーズほどストレートな表現ではない。最後の台詞は「うーん、なるほど」と思ってしまった。
サンガツとの音楽の融合は素晴らしかった。リハーサルの時はどうなるのかよく分からなかったのだが、本番を観てみて、こういうことかと納得した。音楽だけではなく、音による振動も伝わってくるんだよな。これはなかなか得がたい体験だった。