いつも彼らはどこかに(小川洋子)★★★☆☆ 9/5読了

たてがみはたっぷりとして瑞々しく、温かい―ディープインパクト凱旋門賞への旅に帯同することになる一頭の馬、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバー、村のシンボルの兎、美しいティアーズラインを持つチーター、万華鏡のように発色する蝸牛…。人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ、優しさを、新鮮な物語に描く小説集。

冒頭の「帯同馬」があまりに素晴らしくて、この短篇集はとんでもないことになるぞと思ったが、その後は徐々にトーンダウンしていった。ラス前の「断食蝸牛」はちょっと気持ち悪かったのだが、ラストの「竜の子幼稚園」がまた素晴らしかった。
一篇、一篇の向き不向きはあると思うが、全体的には小川洋子の世界を堪能できる好短篇集となっている。個人的にはやはり「帯同馬」が良かったね。

いつも彼らはどこかに

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