演劇2 ★★★★☆ シネマ・ジャック&ベティ

演劇は21世紀を生き残れるのか?
演劇とは、コストも時間もかかる超アナログな芸術である。逃れがたく経済が付き纏う。
青年団の事務所には『三文オペラ』の文句が掛けられている。「まず食うこと それから道徳」。しかし、不況と財政難で公的な芸術関連予算は縮小傾向に。
この逆境に対する平田の戦略は、シンプルかつ遠大なものだった。「演劇が社会にとって必要不可欠である事」を世間に納得してもらおうというのだ。
平田は文字通り東奔西走する。教育現場や地方の演劇祭、果てはメンタルヘルスケア大会まで、その知識とノウハウを伝えていく。政治家への働きかけも積極的だ。
他方で、海外進出やキラーコンテンツとしての「ロボット演劇」など、助成金に頼らない劇団経営を模索する。
『演劇1』が「平田オリザの世界」ならば、『演劇2』は「平田オリザと世界」を見つめる。それは、演劇という芸術を通して、高度に資本主義化された現代社会を問い直す試みでもある。


【監督】想田和弘
【キャスト】平田オリザ, 青年団,こまばアゴラ劇場の人々
2012年/日本,アメリカ/170分/東風/ブルーレイ上映

平田オリザは一体何人いるんだ? というくらいの活躍ぶりだ。それこそ平田オリザの着ぐるみを着たロボットが何体もいるようだった。
ホント、政府は文化事業に対してもっとお金を出して欲しいね。そうすれば、もっとチケット代が安くなって、多くの人が演劇等を観られるようになる。
演劇1もそうだったけど、合間合間に挟まれる猫のシーンとか、稲刈りのシーンとかの本筋に関係ないシーンがなんかいいんだよな。
1、2合わせて約6時間。最後の方はさすがに集中力が切れかかったけど、最後まで面白く観ることができた。想田監督の演出の妙だと思う。