歌人 光森裕樹の2010年〜2012年の短歌を128首収めた第二歌集。
短歌総合誌や文芸誌などに発表した連作12篇と、新たに書き下ろした連作2篇を収録。
『鈴を産むひばり』に比べると、さらに意欲的な作品が増えたね。電子書籍としてのみ発売されているのも特徴だ。
気に入った作品をいくつか引用する。
てのひらをすり抜けさうな雪だからはめて間もない手袋をとる
よくなくすため冷蔵庫にいれてある一ダースほどの青い目薬
オカリナの音がなければ全力で爪を噛んでるように見えた、と
Internetに繋がらざるは服を着てをらぬに等し泳ぎにゆくか
エレベーターにちらばつてゐるはなびらを浮かせるために押す地上階
そよかぜがページをめくることはなくおもてのままにKindleをおく
さしだせるひとさしゆびに蜻蛉(せいれい)はとまりぬ其れは飛ぶための重さ
電子書籍なので、折にふれてiPod Touch等で読めるのもいい。
- 作者: 光森裕樹
- 発売日: 2012/11/07
- メディア: Kindle版
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