三谷文楽「其礼成心中」@バルコ劇場

舞台は元禄十六年。
大坂では近松門左衛門が実際の心中事件を元に書いた『曽根崎心中』が大ヒット。その舞台となった天神の森は悲恋の末に心中を遂げようとする男女の心中のメッカとなっていた。
その森の入り口にある饅頭屋の夫婦と心中にやってくる男女の物語を三谷幸喜が書き下ろします。
三谷幸喜が描く『曾根崎心中』の裏版『其礼成心中』は笑いと涙に溢れた人情物語となるに違いありません。


作・演出 三谷幸喜
出演 竹本千歳大夫 豊竹呂勢大夫 豊竹睦大夫 
豊竹靖大夫 鶴澤清介 鶴澤清志郎 鶴澤清
鶴澤 清公 吉田 幸助 吉田 一輔 吉田 玉佳 
桐竹 紋臣 桐竹 紋秀 吉田 玉勢 吉田 簑紫郎
吉田 玉翔 吉田 玉誉 吉田 簑次 
吉田 玉彦 吉田 玉路 吉田 簑之

パルコは段差があるから後ろの方でも見やすいのだが、WOWOWのカメラが入っていたのが残念だった。手元の台本を照らすために明かりを点けているから、客席が暗くなるとどうしても気になるんだよな。
冒頭の三谷人形の前説から笑わせてくれる。舞台が開くと、真正面の上部に「床」がある。これがスライドして、義太夫や三味線が移動するようになっている。
現代口語を取り入れつつも文楽独特の節は留めているところがいい。下記は朝日夕刊の劇評。

カミングアウトにネイルサロンと、破調なカタカナ言葉を交えて語る義太夫節は時にリズムが乱れる聞きづらさもある。だが、作曲の鶴澤清介があえて選んだ正当な節付けは、現代語に近い会話を水際で文楽の世界につなぎとめた。

閑古鳥やミラーボールなど、やりたい放題やってくれて楽しかった。人形も通常ではありえない動きをしてくれて面白かったなあ。三谷の趣向にプロが全力で楽しんで取り組んでいる様子がうかがえて、実に贅沢な舞台だった。
カーテンコールがまた楽しかったな。普段の文楽では絶対にありえないもんな。