なずな(堀江敏幸)★★★★☆ 7/23読了

生後2ヶ月の女の子と過ごすイクメン小説!
「世界の中心は、いま、《美津保》のベビーカーで眠るなずなの中にある」──ひょんなことから授かった生後2ヶ月の「なずな」。かけがえのない人々と、二度と戻らない日々を描く待望の長編小説。

この本は実に良かったね。よんどころない事情で弟夫婦の子どもを預かることになった40代独身の主人公が、周りの人たちの助けを借りながら子育てにいそしむ話である。
主人公の周りの人たち、小児科の先生やその娘、バーのママや住んでいるマンションの管理人、職場の仲間(彼は地方紙の記者である)などがみんな魅力的なんだよな。
かなりぶ厚い本だし、取り立ててドラマチックな展開もないので、飽きるかと思いきや、いつまでも読んでいたいくらいに面白かった。
堀江敏幸というとややペダンチックで難解なイメージがあるが、この本はそういう要素が薄いので、堀江敏幸の本にしては取っつきやすいのではないだろうか。
もちろん、自分の娘が小さかった頃を思い出しながら読んでいた。ああいう時期はもう二度とないんだよなと思うとちょっと寂しくなった。

なずな

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