フランキー・マシーンの冬(下)10/29読了(ドン・ウィンズロウ)★★★★☆

フランキー・マシーンの冬(上)10/24読了(ドン・ウィンズロウ

フランク・マシアーノはマフィアの世界から足を洗ったつもりだった。地元サンディエゴで釣り餌店をはじめ複数のビジネスを営むかたわら、元妻と娘、恋人の間を忙しく立ち回り、“紳士の時間”にはサーフィンを楽しむ62歳の元殺し屋。だが“餌店のフランク”としての彼の平和な日々は、冬のある一日に突然終わりを告げる。過去の何者かが、かつて“フランキー・マシーン”と呼ばれた凄腕の存在を消し去ろうとしていた―。

前作『犬の力』に比べればサラリと読める。だけど内容が薄いわけではない。
なぜか命を狙われるフランキーが、命を狙われる理由を回想しながら逃亡する。この逃亡の現在と回想の過去がうまく混ざり合って絶妙の効果を上げている。但し、回想部分はそれほど面白くないエピソードもあるし、やたらにマフィアが出てくるので、だんだん名前が覚えられなくなってくるんだよな。やられてもやられても這い上がってくるフランキーの描写を読んでいると、往年のディック・フランシスの主人公を思い出した。まあ、ちょっと人物設定が違うけど。
ラストもなかなかうまく決まっていたし、『犬の力』のあとがきにあった、もう二度とマフィア物はやらないと言っていたロバート・デ・ニーロが主演する気になったというのもなるほどと頷ける。