声出していこう(朝倉かすみ)★★★☆☆ 10/19読了

 平凡な街の地下鉄駅構内で通り魔事件が発生。怪我人、十数名。犯人はそのまま逃走、まだ捕まっていない。
 その事件の余波で部活が休みになった男子中学生・マサノリは、母親に頼まれて大型スーパーに買い物に行き、小学校の同級生・西田とばったり会う。西田には「うざキャラ」のためかつて軽くいじめられた過去があった。
 その西田に「一緒に事件現場見に行かない?」とマサノリが誘われたことから、この物語は始まるのだが......。
 作家に恋する女子高生。自称「モテ男」の家業手伝い(ラーメン屋)兼自宅浪人生。4歳のとき世界の国旗と国名、首都が言えたことが唯一の心のよりどころの 46歳独身男などなど、この街に住むうだつの上がらぬ6人の老若男女が、走って、恋して、自惚れて、戸惑って、言い訳して、嘆く。
 真犯人は、誰だ?  私は、何者だ?
 爆笑と感嘆の会心作。

構造的には『田村はまだか』に似ている。いつまで経っても現れない田村が全編の底流にあったように、本書も通り魔事件が底流にある。『田村はまだか』と違うのは登場人物がバラエティに富んでいるところ。男子中学生から50歳のおばさんまで、各年代の男女が揃っている。
そして彼らがそろいも揃って自意識過剰で他人からどう見られているのかを異常に気にしているのだ。まあ、現代人の象徴なのだろう。
なかなか面白かったけど、ミランダ・ジュライと比べてしまうとどうにもならないな。比べちゃいけないんだけど。

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