始祖鳥記(飯嶋和一)★★★★☆ 3/26読了

江戸後期に、世界で最初に空を飛んだと伝えられる一人の表具師がいた。備前岡山に生まれ、駿府で生涯を終えたと言われる「鳥人備前屋幸吉」である。 七歳で父親と死別。生家を兄が継いだ後、表具師を営む母の生家に引き取られて修行を重ね、やがて幸吉は表具師として最高の腕を認められ「銀払い」の地位と財を築く。しかし「鳥のように空を飛んでみたい」という少年期の思いは止みがたく、ある日幸吉は憑かれたように羽作りに没頭しはじめる……。ただ自らを生きるために空を飛び、飛ぶことで人々に希望を与え続けた幸吉の人生を、綿密な考証をもとに鮮烈に描く希代の歴史大作。前作で大衆文学の到達点とされる文学賞候補を意あって辞退した、まさに「知る人ぞ知る」著者、飯嶋和一氏の感動の書き下ろし長編である。

飯嶋和一の本は『黄金旅風』『出星前夜』と読んでこの『始祖鳥記』に戻った。文章は力強くて巧く、登場人物が魅力的だ。ぐいぐい引き込まれたね。
3作に共通するのは、為政者に抑え付けられても、それを跳ね返す気概を持った庶民の姿だ。彼らの考えや行動は実に読み手に勇気を与えてくれる。
次は『雷電本紀』を読んでみるかな。