落語家はなぜ噺を忘れないのか(柳家花緑)★★★☆☆ 5/27読了

落語家が高座に上がるまでにやっていること、高座の上で考えていることを、自らをモデルに明かす。タイトルの「落語家はなぜ噺を忘れないのか」に始まり、「どうやって噺を面白くするのか」「どんな噺が難しいのか」等々、落語にまつわる創意工夫を公開。あまり明かされることのない、落語家の頭の中、手の内を見せる。祖父であり、人間国宝ともなった五代目柳家小さんからの教えも随所に登場。柳家一門および一門を超えて受け継がれていく落語の伝承が感じられる一冊。

私は柳家花緑があまり好きではない。どうも頭でっかちな感じがするからだ。本書も、いかにも頭でっかちが書きそうな野暮の極みのような本である。しかし、後書きにも書いてあるとおり著者は野暮を承知でこの本を書いている。そこに逆に好感が持ててしまうのだ。
どうやって噺を覚えるのか、どうやって自分らしい噺を構築していくのか。祖父で人間国宝の五代目柳家小さんが得意だった「笠碁」を題材にして、花緑流の「笠碁」ができるまでを詳細に書いてくれている。これは落語ファンであれば誰もが知りたい内容で、よくぞ思い切ってここまでさらけ出してくれたなという感が強い。
今まであまり好きではなかったけど、本書を読んで一席聴きたくなった。機会があれば聴きに行ってみよう。

落語家はなぜ噺を忘れないのか (角川SSC新書)
落語家はなぜ噺を忘れないのか (角川SSC新書)柳家 花緑

角川SSコミュニケーションズ 2008-11
売り上げランキング : 22988

おすすめ平均 star
starプロ 落語家はなぜ噺を忘れないのか
star実践的に役に立つ
star生き方に美学を持っている人

Amazonで詳しく見る
by G-Tools