立川談志独演会 銀座ブロッサムホール(中央区立中央会館)

銀座ブロッサムホールは初めて。ちょっと年季の入った大きなホールだ。2階席だったが最前列だったので、まずまずよく見えた。ただ、風邪をひいていたので、涙と鼻水が出るのには往生した。
開演時間になって場内アナウンスがあって、出囃子が聞こえてくるのだが幕が開かない。5分くらいしてやっと幕が開いたと思ったら、今度はなかなか談志が出てこない。遅刻しているのか体調が悪いのかなんて心配をしていたら、やっと出てきた。第一印象は「あぁ、おじいちゃんになっちゃったなあ」だった。なんだか歩き方も覚束ないし、壇に登って座るときもちょっとよろよろしている。談志も風邪をこじらせていて声がうまく出ないようだ。


<松曳き>
マクラの合間にジョークを交えながら、なんとか声の調子を取り戻そうとするがあまり上手くいかず。そのまま「松曳き」に入った。あんまり調子が出てなかったね。


<仲入り>
一席目を30分くらい喋って、そこから20分の休憩。休憩が明けても、またなかなか幕が上がらない。なんだか、噺を聴いている時間よりも待っている時間の方が長いな。


<天災>
戻ってきてまた色々話し出すが、少し調子が戻ってきた感じがする。「テレビは何を見てもつまらないけどWOWOWはいいね」っていう話が面白かった。番組じゃなくて砂嵐を見ているらしいのだ。そんでもって、ずっと砂嵐を見ていると段々何の番組か分かってくるという。「これはテニスの混合ダブルスだ」とかね。
ニ席目は「天災」だった。これは去年の夏に談春のを聴いた。途中に色々なギャグを入れてくるのが上手いんだよな。この噺の途中から大分調子が上がってきた。紅羅坊奈丸の話を八五郎が熊さんにしてやるあたりは客席の笑いも随分大きくなり、談志のテンションも最高潮だった。八五郎が熊さんに話をしても熊さんが納得せず、「俺はこう思うんだけど・・・」というと八五郎も「そうだろう。俺もそう思うんだよ。俺たち話が合うねえ」「当たり前だよ一人でやってるんだから」っていうのには笑った。談志ってやっているうちに時々「メタ落語」のようになるんだよな。


最後は幕が途中まで下りたところでまた上げて、ひとしきりポストトーク。「チケットが売れてお客さんが入ってくれるから有り難いんだけど、本当は300人くらいの小屋でチケット代も3,000円くらいでやりたいんだけどね」と言っていた。私もそう思う。銀座ブロッサム関内ホールみたいな広いホールは落語には向いてないよな。談志も老いてきて随分弱気なことを言っていたけど、毒舌も相変わらずだった。これからも体の許す限り頑張って欲しい。自分で「俺以上の芸人はいないよ」って言ってたしね。