オープニングは4人でのトーク。今年の抱負なんかを面白おかしく喋っていた。何でも白鳥は夜行バスで新潟に行かねばならないということで、トップバッターは三遊亭白鳥。
<三遊亭白鳥:千葉浜>
マクラは前座時代の話。その頃は新作をやっている若手なんてほとんどいなかったから、随分辛い目にも遭ったなんてことを楽しそうに話していた。
15、6年前の噺なので多少古びているところもありますが、なんて断って本編へ。「おいっ、おまいさん起きとくれよ。いいかげん仕事に行っておくれよ」。おいおい「芝浜」じゃないかと思っていると、主人公は落語家で仕事先は鈴本の早朝寄席になっている。「芝浜」のパロディーだった。これが荒唐無稽だけど良くできていた。電車に乗って寝過ごして、着いた先が新木場で、浦安の海岸でディズニーランドを遠くに見ながら煙管を一服と思ったら、煙管じゃなくてシャボン玉を吹いていたというから大笑いしてしまった。そして浜で拾ったのが財布じゃなくて木でできたテポドンだっていうからブッ飛んでいる。これを懐に入れて家に持って帰って来ちゃうんだから落語は便利だよなw。私は落語は「古典派」なんだが、新作もなかなかいいね。
<林家彦いち:保母さんの逆襲>
マクラは白鳥がいかに駄目な人間かという話。落語はやはり新作だった。男と別れたばかりの三十路の保母さんが園児たちにバカにされ、カッターを持って銀行強盗に行く話。しかもカッターの刃がちょびっとしかないなんて細かいところが面白かったね。最後は、オチが思いつかなかったのでこれで終わりですと言って引っ込んでいった。
仲入り
<春風亭昇太:ろくろ首>
マクラはやはり白鳥の話から自分の家の大掃除の話へ。弟子の前だと見栄を張っちゃって、バンバン古い洋服をゴミ袋に詰めてたんだけど、後で一人でゴミ袋から透けて見える洋服を見るに付け、やっぱりこれはまだいるなあなんて取り出したりして、なんて話は受けた。お婆ちゃん体質なんでなかなかものが捨てられないとも言っていた。
落語は新作かと思いきや古典だった。与太郎のぐずぐず加減が良かったね。それにしても春風亭昇太は若々しいし、楽しそうでいいね。
<柳家喬太郎:文七元結>
拍手が鳴りやまぬうちにいきなり噺に入る。お久が自ら吉原へ行って、自分を買って貰うくだりだ。これって「文七元結」じゃーん。ここで「文七元結」が聴けるとは思ってもみなかった。柳家喬太郎は新作のイメージが強かったけど、古典もうまいね。途中で、ろくろ首やテポドンなんかを出してきてしっかり笑いも取っていた。吉原の「佐野槌(さのづち)」の名前が出てこない場面では、「に、に、にぎわい座? そんな楽しそうな名前じゃないし。さ、さ、桜木町?」なんてリップサービスもあった。ついたての後ろに隠れている妻とのやり取りを一人で演じる場面もうまかったねえ。あまり時間がないから簡易版の「文七元結」だったけど、すごくいい「文七元結」だった。
SWAのメンバーの落語を聴くのは初めてだったが、前半新作2席、後半古典2席でバランスが取れているし、前座なしで真打ち4人の噺をたっぷり聴けたのも贅沢だった。新作も古典も両方面白かったね。今度はSWAの会も行ってみよう。
今回、私は後ろの方の端っこの席だったのだが、むしろ端っこの方が前の人の頭が邪魔にならなくていいね。通路にはパイプ椅子の追加席が出ていたのだが、私の隣でそのパイプ椅子に座っていた女性がやたらにテンションが高かった。会場内誰も拍手してない時でも一人で拍手して笑っていることが度々あった。落語を聴きに行くと、ときどき「受けすぎだろっ」って突っ込み入れたくなるくらい異様に受けている人がいるんだよな。かと思うと寝てる人もいるしね。まあ、いろんな人がいますね。