前作『ラスト.ワルツ』は、最後の収束が何となくこじつけっぽかったが、この『東京命日』は第一話からラストを見据えて書き進められている。Amazonのレビューにもあったが、『パルプ・フィクション』のような時間軸の動かし方に『マグノリア』のような群像劇がミックスされている。一度読んだだけではよく分からないので、読み終わってすぐに頭から読み直した。
タイトルからも分かる通り、小津安二郎の映画がモチーフになっており、そこに新人CFディレクター小林清(前作のエンリケの小林だ)、ピアノの調律師、売れっ子ストリッパー、パクリで有名なカリスマCFディレクターなどの人生が同時多発的に描かれる。カリスマCFディレクターの安土四十六の父親の葬式のシーンで寺山修司の歌が引用されたシーンは高野文子の『黄色い本』を思い出した。
前作の登場人物が何人か出てくるから、順番に読んだ方がいいようだね。
東京命日 | |
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